ランス10 魔人の強さの表現

いや〜、ランス10面白かったですね。
エロゲの歴史に名を残す傑作ですよ、これは。

色々と光る所はありましたが、中でも特に、
ストーリーの根幹である「凶悪な魔人との戦い」の表現には感心しました。

その辺をちょっと解説したいと思います。

 

魔王と魔人(の設定)

ゲームの舞台となるルドラサウム大陸には、人間を滅ぼそうとしている魔王と、さらにその部下である魔人たちがいます。

彼らはものすごく強く、人間では基本的に戦いにすらなりません(一方的に虐殺されるだけ)。
また「無敵結界」という、あらゆる攻撃を防ぐチート級の能力を持っています。
(主人公のランスはそれを打ち破れる数少ない存在で、そこがストーリーの面白さにつながっています)

その強さは「1体の魔人が1つの軍に匹敵する」とまで言われるほど。
そんな彼らに人類が滅ぼされようとしている、という所から今回の物語が始まります。

まあ色々ありますが、要するに「無茶苦茶強くて怖い」ってことだけ理解してもらえれば充分です。
詳しくは各自ググって頂くということで……。

 

怖いよ魔人その①

ゲームの流れは、

・どの国に行くか(どの魔人と戦うか)を決める
 ↓
・PRGパート
 ↓
・ボス(魔人)を倒す
 ↓
・次に戦う魔人を選ぶ

という流れで進んでいきます。

魔人と人間は戦争をしており、魔人ごとに攻めている国が違います。
その魔人を倒せば、晴れて国は救われるわけです。

で、PRGパートの中では、ボスに辿り着くまでに「いかに魔人から被害を受けているか」が何度も語られます。
殺戮、飢え、ここには書けないあれこれ(エロゲだし)など、まさに国が傾くレベルで彼らは悪事を働きます。

その描写はさすが老舗メーカーといった所で、
「うおおおおぶっ殺しちゃる!」と熱くさせてくれること請け合いでしょう。

というわけで、強さの表現その①は「ストーリーで語る」です。

 

怖いよ魔人その②

さてストーリーは進み、いよいよ魔人との対決になります。

彼らは無茶苦茶強いです。
というか、まず勝てません。

そうです。
早い話、ほとんどの魔人では「負けイベント」が1回挟まれる形になっています。

制限時間内に倒し切れなかったり、ボロボロに負けたりすることで、
「こんなやつ勝てるわけないだろおおおおおお」
と思わされる構図になっています。

というわけで、強さの表現その②は「負けイベントで敗北する」です。

……ちなみにこの負けイベントですが、周回を重ねてしっかり育成した場合、ちゃんと勝つことが出来るようになります。
(ストーリー分岐も発生します)

つまり負けイベントであると同時に、やりこみ要素にもなっているわけです。
この辺りの作り込みは本当にすごいと感心されられました。

 

怖いよ魔人その③

さて敗北したパーティは、ほうほうの体でなんとか逃げ帰ります。

そしてこのままでは勝てないと思った主人公のランス君は、珍妙な作戦を閃きます。
大抵の場合、卑怯で外道な作戦なんですが。
(この流れはシリーズのお約束でもあります)

その後、準備のクエストを挟んだりして、ボスと再び退治します。
そして何だかんだで見事に策がハマり、大幅に弱体化したボスと対決するのです。

特筆すべきは、その弱体化が可視化されていること。

このゲームでは戦闘中、
・敵の残HP
・ステータス異常
・行動パターン
といったステータスが全て見えています。

つまり、罠にはまったボスの弱体化っぷりも目に見えるわけです。
(最初からHPが半分、強烈なバッドステータスがついてる、行動パターンが弱体化してる等)

こうすることで、元の凶悪だったイメージを残しつつ勝てるバトルにすることに成功しているわけですね。
いや、これ地味ながらすごい発明だと思いますよ。

というわけで、強さの表現その③は「弱体化を可視化する」でした。

なお魔人はそれでも充分に強く、1体倒すごとに
「こんなにヤバい奴を倒しちゃったぜうひょおおおおおお」
と、すさまじいカタルシスが得られること確実です。


まとめ

以上、このゲームの「強敵との魂が震えるバトル」の面白さが少しでも伝われば幸いです。
(BGMも最高なんですよこれが)

魔人には悪いやつも良いやつもいて、一人ずつに背景がしっかりと作り込まれています。
影の主役と言ってもいいほどにゲームに厚みを与えてくれています。

彼らとの対決に的をしぼった本作は、間違いなく傑作でした。

願わくは、今回で完結などと言わず、まだいつかあの世界で冒険をしたいですね。

(2部…? いや僕は好きですよ?)